久々の更新です。(恐ろしく長文ですのであしからず)
今回はまじめにエンジンのオーバーホールのお話でも...。
最近エンジン(以下E/G)ホーバーホール(以下O/H)の依頼が続きます。
やはり緻密な作業となりますので深夜での整備をしております。
かれこれ4輪整備を含め
(日本4大メーカー、ハーレー、BMW、レース用バイク、イタ車、etc)
と20年近くエンジン整備をしておりますが、
E/GのO/Hとなると、車種、機種、走行距離、使用状態、etcで
良く耳にする整備項目(ピストン交換、ヘッドO/Hなど)は同じでも、
いざ分解して見ると1台1台、E/Gコンディションがまるで違います。
↑ 走行距離50000km弱 SUキャブ付き97’EVO
カスタムでエンジン磨く為、分解中に発覚!
かなり醜悪なカーボン付着でコンディションはかなりよろしくありません。
もちろんこのまま見てみぬフリは出来ませんのでO/Hとなります。
↑走行距離50000km強 S&S superEキャブ付き90’EVO
年式はこちらの方が古く走行距離は同じ位ですが、全オーナー
のOIL管理やスーパーゾイル投入などでヘッドコンディションはこちらの
方がいい状態ですが、バルブシール抜けで急激なOIL下がりを起こし
消費が突然早くなり、軽いエンジンの焼きつきを起こして
ガスケット抜けなどもあり、O/Hとなりました。
この様に同じ機種、同じ様な走行距離ですが、これだけコンディションが
違ってきますので、HILT'SではE/Gを分解してから、
各部の磨耗具合や交換するパーツのメニューを決めていきます。
(目視で判断出来る所、1/1000単位で測定しないと分からない所)
地味ですが、大体では済みませんので、じっくり構えてからの作業になります。
さて、今回は、磨き中に発覚した97’EVOのE/G O/Hについて深く
レポートして見たいと思います。↓
醜悪なるカーボンが付着したシリンダーヘッド↑
バルブを抜くとさらに酷な状況にいたっております。
カーボンがバルブフェイスまで進行してバルブの密閉性を下げており
燃焼室の圧縮は下がり完全燃焼と程遠い状態にあります。↓
O/Hでかなり時間の取られる作業が付着したカーボンの清掃です。
E/Gを傷めない様に強固に付着したカーボンを手作業で取り除きます↓
↑清掃して見てハッキリ分かりますが、バルブの当たり面を
カーボンが噛み込み、バルブの当たり面(バルブシート)にガタガタの
打痕が付いております。
こうなると、一般的なバルブすり合わせなどでは到底修正出来ません。↓

上記写真では掲載用にタコ棒とよばれる手作業でバルブの
摺り合わせる工具が写って居りますが、バルブ摺り合わせは
実際には回転させて擦るのでは無く、実際にバルブが駆動する
上下運動の様にカンカンと叩き擦るので、HILT'Sでは手作業は
時間がかかり過ぎなので、バルブフラッパーなる専用のエアツール
を使用しておりますので、僅か数秒でバルブシートの擦りあわせは
完了いたします。(これもお高い工具ですが、欠かせない工具です)↓
ココまで磨耗やコンディションが悪くなったE/Gは内燃加工と言う
特殊工具を使ったヘッドのバルブの当たり面の修正を行います。
一般的には(バルブリフェーシング、バルブシートカット)と言います。↓
とても高価な工具ですが、(軽く単車が買える位

)
こういった加工を幾つも外注で頼むとその分、
お客さんに負担が掛かりますので、HILT’Sでは
出来る所はすべて自社で作業をいたしております。
バルブシート面を上記の図の様に3面カットして行き、↑
最適な当たり面や当たり幅を微調整して行きます。
シートカットの終わったシリンダーヘッド↓
ココからさらに実際はまるバルブなども痛んでおりますので、
バルブフェースの修正、再度バルブフェースの当たり調整をして行きます↓
最終的に光明丹で仕上がったバルブシートの当たり幅等、再確認
修正後のシリンダーヘッド↓
こうしてようやく、E/Gの組み付け作業に入れます。↓

↑
新品のピストンやビカビカになったシリンダーヘッドなどサックリ組んで完成。
↓
こうした修正を合わせたエンジンのオーバーホールが出来るのも
ハーレーのサービスマニュアル等を見ると解ると思いますが、
エンジンをオーバーホールする際、磨耗したパーツの修正方法や、
それに対応したパーツの選定、豊富な各オーバーサイズパーツなど
オーバーホールを何度も出来、一台のバイクを長く乗り続けられる様
にハーレー社の設計思想に他なりません。
そんな所が私にとっては一番のハーレーの魅力だと日々思います。
とは言っても、突然のE/Gオーバーホールなど大変な出費となりますので、
1台のバイクと長く付き合って頂く為にもHILT'Sでは
国産ディーラー等の経験から、それらと遜色の無いレベルの
工賃換算等を日々、追及しております。(お問い合わせは)↓

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